レム(Rapid Eye Movement)睡眠・・ 夢を見ているとき。脳は活発に動き、全身の筋肉の緊張は緩んでいる。
ノンレム(Non Rapid Eye Movement)睡眠・・ 夢を見ていない深い睡眠。脳は休息して、骨格筋の緊張はレム睡眠程は緩んでいない。
高齢者では、消灯してから入眠するまでの時間が長く(入眠障害)、入眠後の覚醒(途中覚醒)が多い。
睡眠の内訳としては、浅いノンレム睡眠(段階1.2)が増加し、深いノンレム睡眠(段階3.4)が減少し、レム睡眠も減少。
高齢者では基礎代謝量も減り、活動量も低下するので深く眠る必要がないとも考えられます。
不眠の訴えは、20-60歳の約19%で見られのに対して、60歳以上では約30%に認められた。
入眠障害は年齢による差はなかったが、途中覚醒、早朝覚醒が60歳以上で増加。 高齢者においては、加齢変化により睡眠が浅くなり、分断されやすくなっていることが原因として考えれる。
身体の重みがかかっている特定の部位の筋肉が疲労したり、血流が悪くなるのを防ぐため。 さらには体熱がこもりやすい身体の下になった部分の熱を発散させるため、日中の活動で歪んだ背骨などを修復する役目もあります。
寝相が悪いことはこうした調整機能が活発に働いていることを示すもので健康な睡眠には不可欠です。
「明日忙しいから、明日眠る分まで今晩眠っておこう」という寝だめはできない。 いつも眠りにつく2~3時間前は、もっとも眠りにくい時間帯であることが分かっている。 睡眠の質と量は、眠る前の時点で脳の睡眠中枢により調節されており、必要な睡眠量が満たされると、あとは浅い眠りが続くだけでそれ以上の熟睡は出来ない。
1965年に米国の17歳の高校生が断眠実験で達成した264時間12分(11日間と12分)が最高記録。
断眠4日目に気分が沈み、イライラ出現、幻視も出現し、被害妄想的な訴えも見られた。 7日目からは言語不明瞭、11日目には思考力もかなり低下したが、身体機能には問題なかった。
この高校生は自宅で14時間45分眠り、目覚めたときには全て正常に戻っていた。
このように人では眠らないことで病気になることはなく目覚めていられなくなり眠り込んでしまう。
生理的な寝言の多くは、短く、小声で、感情的な徴候を示さず、頻度も低い。
PTSDなどの強度のストレス下では、毎夜続く悪夢と寝言が見られるのが特徴的。
発熱性の身体疾患においても寝言を認める。いわゆる熱でうなされる状態。
夜驚症は激しい恐怖感に一致して叫び声や悲鳴の寝言。
3~12歳に好発し思春期までに自然消失。 睡眠時無呼吸症候群においても、呼吸停止から再開する際に、あえぎ、うめき声が観察される。
レム睡眠行動異常では抗争的な夢の内容に一致して激し寝言、叫び声や異常行動を伴うことが多い。
50~60歳以降の男性に多い。
いびきの原因は若年者では扁桃肥大によることが多く、中高齢になると睡眠中の軟口蓋から舌根部の筋弛緩によることが多くなる。
これに鼻閉がくわわるといびきがひどくなります。
歯ぎしりは、人口の80%以上が生涯に一度は遭遇する生理現象。問題は、ベッドパートナーが不眠になる場合と、歯の摩耗、歯周部の損傷、顎関節症、肩こり、頭痛が生じる場合。
はっきりした原因は不明。 いびきも歯ぎしりもマウスピースの作成により治療可能です。
寝入りばなや中途覚醒時に意識はしっかりしているのに体の自由が効かなくなる現象で睡眠麻痺と呼ばれています。
レム睡眠中は、脳は活発な状態で、眼球、呼吸筋は動くがそれ以外の全身の筋肉は緩んでいる状態。睡眠麻痺はレム睡眠に特有の筋肉の弛緩が、寝入りばなや中途覚醒時に起きてしまう。
原因は不明だが、睡眠時間帯が不規則だと出現しやすい。
金縛りが起きてしまったら、意識的に目を動かすことで早く抜け出せる。
高齢者では若い頃と比べて睡眠の必要量が減り、睡眠自体が浅くなり、昼寝も増え、頻尿、腰痛のため夜中に何度も目が覚める。
また、老人ホームでは介護者のマンパワーの都合上消灯時刻が早い時刻に設定されており、夜遅くなると他の入所者に気を使って自由に過ごせないため余計に不眠が意識されてしまいます。
睡眠薬は
(1)バルビツール酸系(2)非バルビツール酸系(3)ベンゾジアゼピン系(4)非ベンゾジアゼピン系の4つに大別される。
近年は安全性などの免から(3)、(4)がほとんど使用されている。
安定剤は正式には抗不安薬と呼ばれるが、ほとんどはベンゾジアゼピン系薬物である。
ベンゾジアゼピン系薬物はいずれも催眠作用、抗不安作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用があり、それぞれの作用を強くしたのが、睡眠薬であったり、抗不安薬であったりする。
民間療法としては、自律訓練法、漸進的筋弛緩法、瞑想法、気功、マッサージ、半身浴、アロマテラピーなどがある。
漢方薬では、大さい胡湯、半夏厚朴湯、抑肝散、帰脾湯などがある。サプリメントでは、メラトニン、ビタミンB12があげられる。
古来よりアルコールは睡眠薬代わりに使用されて、現代でもナイトキャップとして飲用している日本人は多くおられます。
アルコールは寝つきは良くするが、眠りを浅くして早朝覚醒を起こしやすい。
また寝つきの効果についても次第に効果は薄れ飲酒量が増えてくるという悪循環を起こす。
こうした理由から眠る目的ではアルコールは決して使用してはならない。
睡眠薬との併用についても、お互いの副作用を強めてしまうので禁忌です。
夜勤明けの昼間睡眠は、睡眠時間が短くなり中途覚醒が多くなることが明らかになっています。
通常は深部体温リズムの下降期に睡眠が開始され、体温が最も低くなる明け方を経て上昇期に入った時点で覚醒します。
夜勤明けの昼間睡眠は深部体温リズムが上昇する時点で眠り始めるから睡眠の持続が難しいです。
夜勤明けで朝の日光を浴びると交感神経の興奮をきたすので、帰宅時にサングラスをかけるなど工夫し眠る時も出来るだけ暗くすると良いです。
近年主に使用されているベンゾジアゼピン系睡眠薬などは適正な用量・用法を守って使えば呼吸抑制などの重篤な副作用は少なく安全な薬物です。
もちろん不眠症状が改善しているのであれば漫然と使用する必要はありません。
しかし、急に減量したり、中断した場合、反跳性睡眠という以前よりもさらに強い不眠が出現する場合があるので注意しましょう。
睡眠についてお困りであったり、睡眠についての疑問などありましたらお気軽に当院の睡眠・ストレス外来へお越しください。